2021.11.12

通常損耗・特別損耗の違いとは?

通常損耗・特別損耗とは?

▼【通常損耗】(つうじょうそんもう)について

契約で定めた目的・用法に従って使用した結果生じた損耗のことをいいます。例えば「使用年数が経つにつれて、日焼けした壁紙が色褪せた」「エアコン機器の保証年数が過ぎて運転が利かなくなってきた」といった、年数の経過に伴う劣化で起こりうる故障が挙げられます。

▼【特別損耗】(とくべつそんもう)について

賃借人の故意過失や通常とはいえない使用方法により発生した損耗のことをいいます。「ものをぶつけてガラスにヒビが入った」「養生せずに家具を運んだことで床や壁にキズができた」など、規定外の条件で損傷を起こしてしまった場合が対象となります。

通常、賃借人は「損耗」があった場合にその損傷を回復することが義務付けられていますが、一部例外があります。それは前者の「通常損耗」の場合です。

「賃借人の原状回復義務」 の条件

令和2年4月1日から施行された『改正民法』第621条「賃借人の原状回復義務」において以下のような条件が明記されるようになりました。

“「第621条(賃借人の原状回復義務)賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を現状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」”

― 『改正民法/第621条「賃借人の原状回復義務」』より引用

これは、「賃借物を受け取った後に生じた損傷は、基本修理しなければならないが、それが【通常損耗】だった場合、賃借人が原状回復費用を負担しなくてもよい」という内容です。

上記の条件に当てはまっている場合、賃借人は原状回復費を支払う必要がありません。業者から請求された原状回復費が適正かを判断し無駄な費用を払わないためにも、賃借人になった人は必ず知っておくべきポイントです。

よくある質問に「知らないうちに水漏れしてシミができていたが対象になるのか」「故意ではないがうっかり傷つけてしまっただけなのに負担しないといけないのか」というお問い合せがありますが、こういったケースは注意が必要です。

原状回復の見積は原則、賃借時の契約条件に基づき判断するため、たとえわざとでなかったとしても、書面の条件に沿っていない場合は【特別損耗】として認められることが殆どです。この場合は自己責任となるので、きちんと義務を果たし、賃借物をお返しする必要があります。

「知らずに損をしてしまった…」と後から後悔しないためにも、契約内容の条件をきちんと把握し、正しい知識を身に着けておくことが大切です。

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